倉庫と聞いて連想するものが人それぞれであるように、法律上ではこんなものも倉庫と呼ばれているんだというものもあります。一般に倉庫といえば建屋型の倉庫が並んでいる様を連想する方が多いと思いますが、こういう倉庫は1類、2類、3類の倉庫と呼ばれています。1類倉庫では、冷蔵倉庫に保管されるべきものや危険物は保管できませんが、建物内に保管できるその他の物品は何でも保管します。そのため、防火、耐火、防湿などに厳しい性能が求められます。
倉庫で、2類、3類と呼ばれる倉庫は、それぞれ、1類の倉庫から防火、耐火性能が無いものが2類、さらに防湿性能も無いものが3類となります。そのため保管される物品は当然制限を受けることになります。これも倉庫かと思うのが野積倉庫です。この倉庫は要するに柵や塀で囲まれているだけの野積場です。鉱物や材木、時には自動車などが積まれた場所が、実は野積倉庫と呼ばれる倉庫である場合もあるということです。建物が無い倉庫というのは少し意外な感じがしますね。
倉庫には、通常、別の名前で呼ばれているものもあります。例えば、大規模農場の近くなどにあるサイロ。小麦、とうもろこし、大麦などの穀物類を主に保管する倉庫です。こうした倉庫は貯蔵槽倉庫と呼ばれます。そういう意味では、酒蔵や、お屋敷にある蔵も日本に昔からある倉庫の1種といえるかもしれません。現在の住宅事情では、想像するのも難しいことかもしれませんが、一昔前なら、都市部にある家でも本宅、離れ、美しい庭、そして蔵のある家がありました。家の中に倉庫があったわけです。
倉庫を庭に建てることができなくなって、それなのに日常で使う物品は昔よりはるかに多くなってしまった現代人の生活をフォローするのが、最近、都市部のあちこちに増えてきたトランクルームです。トランクルームは立派な倉庫の1種です。したがって、倉庫を扱う正規の登録業者でなければ、本来、事業を行うことができません。トランクルームに預けるものは普段は使わないけれど、捨てるわけにはいかない大事なものも多いはず。そのトランクルームを適正に維持管理してくれる登録事業者かどうか、きちんと調べておきましょう。
倉庫のなかで普通倉庫と呼ばれるものの中には、これまでに紹介したものの他に危険品倉庫と呼ばれる倉庫があります。文字通り、危険物を保管する倉庫で、それだけに保管するものによって、消防法や災害防止法などの制約を幾重にも受けています。ただし、その倉庫の形状は、建屋、野積、貯蔵層、冷蔵など保管するものによって最適なものになっています。さて倉庫の中にも様々な倉庫があることがお分かりいただけたでしょうか。ドライブの途中などに倉庫を見かけときには、どういう倉庫なのか考えてみるのもおもしろいかもしれません。